俺様天使の助手になりまして

「おれたち、まだ、あってないんだ」

 男の子が、ぽそっと、呟く。今まで元気だったのに沈んでいる。というか、すごくつまらなそうだ。

「みんな、大好きなんだ?」

「うん! だって、すっごいやさしいんだよ! だっこしてくれて、いいこいいこ、してくれるもん!」

「すっげーつよくて、かっこいいんだぞ。おれの、あこがれだ!」

 そっか。アクマ天使は、ちびっこにも人気があるんだ。

「おれのとーちゃん、りくとーるさまの、ぶかなんだぞ。すげーだろ」

「わたしのぱぱもだよ!」

「ねえ、それって、とっても凄いことなの?」

「おまえ、なにいってんだ。すげーに、きまってんだろ!」

 二人とは別の方角。後ろから声が聞こえ、一瞬体が固まる。パッと振り返ると、最後の一人である男の子天使が、腕を組んだ姿勢でこっちを見下ろしていた。

「あ~! 見~っけた!」

「うわぁ、しまった!」

 捕まえようと伸ばした手がスカッと空を切る。

 男の子だからか、ちびっこなのに飛ぶスピードが早い。

 足先まであるぶかぶかの天使服を着ていたら、走りづらくてとても追いつけそうにない。素早く脱いで木の枝に引っ掛けて、必死で追いかけた。

「待てぇ!」
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