俺様天使の助手になりまして

「やだよ! べーっだ」

 余裕たっぷりに止まり、あっかんべーをしてくる。

 ん~。悔しい。あっかんべーって、全世界共通なの?

 手を伸ばしても、届きそうで届かない。

 石畳を走り階段を上り噴水まで来て、漸く指先が足に届いて、やっとの思いで天使服の裾を掴んだ。

「つ……つかまえた!」

 はあはあと息が切れる。全力でこんなに走ったのは久しぶりだ。へたりこむように噴水のへりに座ると、遅れてきた女の子天使が、ふわりと隣に座った。

「おねえちゃん、よくがんばったね」

「うん。すっごい頑張ったよ。キミ、早いよ」

「ふんっ。おまえの、かちだ。つよいって、みとめてやるよ」

「ありがと」

「だから、はやくにんむおわらせて、りくとーるさま、かえしてくれよな!」

「おまえのはたらきに、かかってんだぞ! しっかりやれよ!」

「あ、そうだね。早く、天界に帰って貰わないといけないね……。しっかり頑張らないとね」

 ……そうだった。アクマ天使は、玉の回収が終わったら、天界に帰るんだ。任務で、地上にいるだけだもん。

「ね、おねえちゃん。どうしたの?」

「へ?」
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