俺様天使の助手になりまして
髭天使の顔を引っ掻いたり腕に噛みついたり。
連れていかれる私よりも、みんなの方が必死だ。だから私も力の限り踏ん張って、ごつくて大きな手から腕を引き抜こうと頑張る。だけど、却って手の握りが強くなり、ズキンと痛みが走った。
騒ぎを聞き付けたのか、他の警備天使も寄って来た。
「こらっ。お前ら、邪魔するんじゃない」
事態を見た警備天使は、寄ってたかってちびっこを剥がしにかかった。ちびっこ天使は簡単に捕まってしまい、大人の腕の中で「はなせっ、はなせ~」と暴れている。
「こらっ、大人しくしろ!」
【まあ。そこで何を騒いでいるのですか?】
わあわあぎゃあぎゃあ騒ぐ中に割って入ったのは、頭に直接響くような、柔らかい女性の声だ。
その途端警備天使達の顔つきが変わり、すぐさまピシッと姿勢を正した。声の主は偉い人のようだが、それらしき姿はどこにも見えない。
「は! これは申し訳有りません! 怪しい者を捕らえようとしているのですが、チビどもに邪魔をされております!」
「あやしくないの!」
「じょしゅだぞ!」
【あらあら、これはまあ。何てことなのでしょう。では、私が真偽を確かめましょう。そのお方をこちらにお連れして。子ども達も、一緒にいらっしゃい】
「うぬ~来いっ。御呼びだ」