俺様天使の助手になりまして

「有難う御座います。……失礼ながら、良いものとは何でしょうか」

「あなたが取り乱すところなど、滅多に見られるものではありませんわ」

「あ~、どうかそれはお忘れください」

「そうは、まいりませんわ。しっかりと記憶に留めておきます。あ、ほら、子供たちにも……」

 こちらまで、会話が聞こえてくる。

 自分から離れたくせに、気になって耳をすませてしまう。どうやら二人だけに分かることを話しているようだ。

 銀髪天使はくすくすと笑っている。

 今、アクマ天使はどんな顔をしてるの。やっぱり、蕩けるような甘い顔してるのかな。

 あーん、ダメ! こんなこと考えたらダメだ! なんとか、あっちから気を逸らさないと。

「ね、キミたち、おいしい?」

「おいしいぞ! おまえは、たべないのか? これ、たべるか?」

 男の子が、小さなクッキーみたいなものを、んって、差し出してくれる。生意気だけれど優しい子なんだ。

「ありがとう。でも私はいいの。全部、キミ達のだよ」

「おねえちゃん、おはなし、おわったの?」

「うん。終わったよ。今ね……うわ!?」

 突然、何かがずぼっと被せられて、視界が真っ白になって何も見えなくなった。
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