俺様天使の助手になりまして

 いつの間に。

 それに、これは誰の筆跡だろう。綺麗な文字で、公式が書き込まれている。

 この字の主に、教えてもらった? 

 メガネをかけている、男子が浮かぶ。眉間にしわを寄せて、難しい顔をしている。この子、誰だっけ。それとテーブルとイスと……色とりどりのガラス?

「やだっ、何これ!?」

 綺麗な文字が、どんどん薄くなっていく。

「や! 待って! 消えないで! もう少しでしっかり思い出せそうなのに!」

 慌てて書かれた字を抑えるけれど、薄まっていくのを止められない。

 何で消えちゃうの? 変だよ。

「それに、どうして泣けてくるの?」

 消えないで。消えないで。いきなり消えないで。

 課題ノートの字が? ううん、違う。これは、そうじゃない。あの、メガネ男子だ。キラキラ光る綺麗な目が、どんどん霞んでいく。

 真っ白な鳥の翼が、ヒラヒラキラキラしているのが頭に浮かぶ。

 何これ、ワケわかんない。胸が苦しい。ダメだよ、そんなの。忘れたくないよ。大切なことだもん、忘れちゃいけないよ。

「そうだよ! ダメなんだから!!」
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