俺様天使の助手になりまして

 って、あれ? 何で隠れなきゃいけないの? 

 不思議だけれど、とにかく、あの人が何者なのか確かめなくちゃ。

 木の影に隠れ、こっそり様子を見る。出てきたのは、黒い服で、短い髪の毛をツンツン立たせているイマドキ大学生っぽい人だ。手にした何かを見ながらブツブツ言っている。

「へ? うわっ、びっくり」

 手の上にある物から、ふわっと鳥が出てきた。

 あの人、ひょっとしてマジシャン? 

 なんて思っていると、鳥がこちらまで飛んで来た。囀りながら頭上で飛び回っている。

 もしかして私を知っているの?

「……おいで?」

 試しに指を出すと、案の定ちょんと、とまった。

「ね、私のことを知ってるの?」

 小声で訊くと「ぴ」て首を傾げている。

 頭に浮かんだキラキラ光る白い翼はこの子のもの? ひょっとして、マジシャンの助手をしていたの? 

 あのメガネ男子はマジシャンの卵で、私が悪いことをして追い出された? だから、隠れなくちゃって思ったのかな。

「ぴぃ。どこにいますか? 戻っておいで」

 黒服マジシャンがこっちに向かってくる。

「キミ、ぴぃちゃんっていうんだ?」

 問いかけると、つぶらな目をくりくりさせて、翼をパタパタさせて囀っている。可愛い。
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