俺様天使の助手になりまして

 話しかけてきたおじいちゃんに、マジシャンは両手をぶんぶん振って否定している。

「驚きました。ここまで辿り着くとは、想いが強いんでしょうか。朱里さん、中に入ってください。カルピス、飲むでしょう? サナダさんは、どうぞ任務に行ってください」

「はい。あ、ぴぃは置いて行きます。アカリさんから離れそうにありませんので。では、お願いします」

 マジシャンはフルフェイスのヘルメットを被り、バイクに乗って出かけて行った。

 任務って何だろう。マジックショーは任務って言わないよね。全身黒い服だったし……スパイ? まさかね、映画じゃあるまいし。

 ぴぃちゃんを指に乗せたまま、教会の中に入る。

 ステンドグラスと、ずらりと並ぶ長い椅子は、どこの教会でもあるだろう。けれど、天井にあるちびっこ天使の絵には見覚えがある。

「ん? ちびっこの、天使?」

「どうかしましたか?」

「いえっ、何でもないです」

 ちびっこ天使に会ったことがあるみたい、なんて、とても言えない。

 食堂みたいな部屋に案内され、椅子に座って待っていると、春川さんはカルピスを持ってきてくれた。

「ありがとうございます。いただきます」
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