俺様天使の助手になりまして

 ぴぃちゃんに餌をあげて、サナダさんが来たら送り出す。

 課題をやって、素振りをして、春川さんと一緒に夕食の準備をし、ぴぃちゃんの世話をしたら家に帰る。そんなことを繰り返している。

「礼拝堂の掃除してきまーす」

 バケツと雑巾を持って黒いドアを開ける。

 ステンドグラスに日が当たって、椅子や床に色とりどりの影をおとしている。幻想的で、大好きな場所だ。

 一通り掃除したあと椅子に座り、天井にある絵を見上げた。ちびっこ天使と可愛い女の子の絵。

「天界って、どんなとこだっけ」

 あんな感じだったかな。せっかく行ったのに忘れちゃうなんて、哀しいよ。

 ふわあぁっと、大きなあくびが出る。

 朝早いし走っているし、やっぱり疲れているのかな。

 やば、ちょっと、眠いかも――。


『――ったく』

『体調が悪いワケではないようですね』

『こんなとこで寝んな。無防備すぎだろうが。変な奴が来たらどうすんだ。おい、分かってるんだろうな』

『は! 承知しています! ちゃんとお守りしていますので、ご安心を!』

『へえ。お嬢さん、寝顔も可愛いなんて、ますます萌えるなあぁ。いいなあぁ』

『ちっ、お前は近づくな。こら、触るな!』
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