俺様天使の助手になりまして
自称部下は、腕を組んで悩んでいる。真剣な感じで、悪い人じゃないようにも思う。
「うん、そうですね。では、これでいきましょう」
手の平の上に、空気が擦れるような音を立てて白い弓矢が現れた。
「これは、魔を滅する弓矢です。試しに、受けてみますか」
「はあ!?」
自称部下は、すーと窓から離れて、キリキリと弓を引いている。
そんなの全然試したくないし、そもそも私は魔ではない!
こっちに向けられた矢の先が、月に当たってキラリと光っている。
尖端に迷いが見えない。逆光で表情はよく分からないけれど、本気だ。
どうしよ。どうしたらいい?
枕を抱き締めて、そろそろと後退りをする。
下に逃げたらママがいる、絶対ダメだ。巻き込めないし見えないものを説明出来ない。窓を閉めても変な力を使って開けられそうだし、最悪ガラスを割られる。
今ここに竹刀はないから、手持ちの物でなんとかしなければ。狙うのは、矢だ。飛んでくるあれの威力を少しでもなくれせばOK。そう、このデカ長い枕で。
危険だって分かる。逃げなきゃとも思う。
けど、自分でも分からないけど、度胸だけは据わってる。よく観察して、投げるチャンスをうかがうのだ。失敗はできない。
「あぁ、しまったことです。これはマズイですね」