俺様天使の助手になりまして

 なんだか自称部下の様子が変だ。

 急に、うろたえだした。弓矢を持つ手がわずかに揺れて、迷いがみえる。

「いえ、そんな、滅相もございません! これはですね――」

 独り言を言いながら自称部下が上を向いたその一瞬、枕をグッと握って思い切り床を蹴った。

 頼むよ、私の枕っ!

 勢いに任せて思い切り振って、矢に向けて投げつけた。

「行っけえぇぇ!」

「う、うわあっ、何だ」

 バフン、と音がした。枕はそのまま留まっていて落ちない。

 やった、刺さったんだ。早く早く。

 自称部下が枕を取っている隙に、もっと効果的な武器を探すんだ。

 ……って、あれ? 弓矢は?

 よく見ると、自称部下が枕を持っていて、弓矢は影も形も無い。

 枕を投げた時には、弓矢は仕舞っていたってこと?

「なんと。これ程気が強いとは予想外でした。普通は逃げるか、恐怖に震えて叫ぶでしょう。流石隊長が選んだ人ですね。向かってくるとは……しかし、こんな柔らかなもので攻撃とは、無謀すぎですよ」

 自称部下は「魔族や悪人ならば、これでは済みませんよ」って言いながら近づいてくる。

「しょうがないじゃない。手元にそれしかなかったんだから」
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