俺様天使の助手になりまして

『そう。大きな声出したら近所迷惑よ。気を付けてね』

「はーい、気を付けまーす」

 ママの足音が、階段下から遠のいて行く。なんとか誤魔化せたみたいだ。焦った。

「んもうっ、あんたのせいなんだからね!」

 窓をコンコンし続ける自称部下を睨む。それ、止めてよ。

「もう変なことしないなら、窓を開けます」

「神に誓って、しません」

「それで、何しに来たんですか」

 警戒を解かず、少しだけ窓を開けて睨み付けると、すぐに枕が部屋の中にねじ込まれた。

「隊長より伝言を承っています」

「え、隊長って、リクトール?」

 嘘でしょ、本当に? 

 胸がきゅ~っとなって、一気に高鳴る。

「私になの? ほんとにホント?」

 それを伝えに来たのなら、最初からそう言えばいいのに。変なことばっかりするんだもん。聞かずに追い返すところだったじゃない。

「はい、あなたに、です。言葉そのままで伝えます【うろちょろすんな。お前は、家で大人しくしてろ】以上です」

「それだけ?」

「そうです」

 ときめいていたのに、期待していた言葉と全然違う。

 しかも、うろちょろ、て……。

「……私が出掛けようが、何をしようが、あなたの隊長にはまったく関係ないでしょう」
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