俺様天使の助手になりまして

 伝言はちゃんと伝わってるかな。このまま何も話せないのかな。会えないのかな。会いに来てくれないのかな。

『堕天使に加担してる地上勤務の天使を捕まえた』とか『小さな魔族を捕えて魔界に帰した』とか、天使から聞いた情報を、サナダは毎晩私に教えてくれてる。

 その中には、ボスに関する情報は一切なかった。ボスって、堕天使と強い魔族のことだ。最終段階って、そのひとたちを捕まえるために闘うっていうことなのかな。

 隊長は誰よりも強いと思うけど、心配。映画でも何でも、悪役ってめちゃ強いんだもん。

「朱里さん、サナダさんが来ましたよ」

「あ、はい。じゃ、ぴぃちゃん、行こうか」

 ぴぃちゃんの前に人差し指を出すと、ぱっと乗ってくれる。リクトールが天界に帰ると、この子も一緒に行っちゃうんだ。寂しいな。

「サナダさん、おはようございます」

「おはようございます。アカリさん、元気がないですね。ぴぃを置いていきましょうか。玉探しには、ほぼ影響がありませんから」

「ちょっと寝不足なだけです。大丈夫です」

 心配そうなサナダに対し、えへへと笑って見せてごまかす。

「ぴぃちゃん、いってらっしゃい。頑張ってね」
< 218 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop