俺様天使の助手になりまして
怖くて足が竦んだ時、柄革にあるパパの手痕を見て勇気を奮い起こすんだ。
「私と一緒に戦ってくれるでしょ?」
にこにこ笑うパパの顔は変わらない。
世界を守るなんて、そんな大それたことは出来ないけれど、ごく身近な人の笑顔を守ることはできる筈。
「だって、私は警察官の娘だもん!」
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。きっとサナダが来たんだ。
「じゃ、いってきます!」
サナダからヘルメットを受け取って後部に乗る。
先ずは教会に寄ってもらうことを伝えると、バイクは唸りをあげて走り出し、すぐに到着した。
「朱里さん、どうしても、行くのですね?」
パパの竹刀袋を持った春川さんが、真剣な声で聞いてくる。
「はい」としっかり頷くと、すごく心配そうな顔をした。
私のおじいちゃんみたいな春川さん。心配掛けてるのは分かっている。
サナダにもさんざん説得されたのに、突っぱねた私だ。強情なのは、自覚がある。竹刀袋をサナダに預け、春川さんにぎゅうっと抱き付いた。
「いつも味方になってくれてありがとう。春川さん大好き。私リクトールの役に立ちたいんです。危険だって分かっています。でも、行きたいんです」