俺様天使の助手になりまして

「ニイヤマ、失礼だぞ。このアカリさんは、あのリクトール様の元助手だぞ。剣道が出来て、印無くとも大変強いお方だ。見ろ、大きな竹刀袋を持っておられる」

「そうだ、ニイヤマなんかより強いかもな!」

 別の人が、ニイヤマの肩を叩いてアハハハハと笑った。

「おい。そんなことはいいから、さっさと割り当てを決めてバラけよう」

 リーダーっぽい人が園内図をぱらっと広げた。マジックで線を引いて全体を十か所に分け、それぞれの担当を決めた。

 竹刀袋を背中から外して手に持つ。何かあったら、すぐに使えるよう準備は万端だ。

 サナダと私が向かう場所は、メリーゴーランドのあるキッズゾーン。一番奥にはループスターというジェットコースターがあり、季節限定アトラクションのお化け屋敷があるところ。

 ちびっこがメリーゴーランドに乗り、その姿を見ている両親がにこにこして手を振ったり写真を撮ったりしている。

 ベビーカーに乗せた赤ちゃんをあやしているママもいる。手をつないだカップルが、奥のジェットコースターに向かって歩いて行く。

 お化け屋敷の前には、沢山の人が並んでいた。
< 226 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop