俺様天使の助手になりまして
「走って! レストハウスまで行きます!」
「は、はい!」
迫力満点のサナダに負け、ワケが分からないままレストハウスまで走った。
振り返ると、さっきまで私が立っていた辺りには、何個もの丸い玉がひゅんひゅんと飛んでいた。
「間一髪でした。あれを見てください」
例のずんぐり魔族が、周りにいる人に向けて丸いものをびゅんびゅん投げつけている。当たった人の体が、雷に打たれたようにビリビリと震えている。
「あれが魔界に堕ちた精玉なの?」
「あれは、それよりももっと酷いものだと思います」
唸るように言ったサナダは、悔しげに唇を噛んでいる。
お化け屋敷からは、するすると魔族が出ており、浅黒くて翼としっぽのあるスラリとした綺麗なのが、屋根の上に仁王立ちしている。
紫の綺麗な服を着て人の姿に近く、ずんぐりした風貌の魔族とは違う感じだ。
「おい、大丈夫か?」
「どうしたの? どこが苦しいの?」
「誰か! 誰か来て!」
魔族が投げる玉を受けた人がうずくまって苦しんでいる。介抱している人にも玉が当たり、バタバタと倒れた。
「ね、何とかしなきゃ! 早く逃げてもらわなきゃ!」