俺様天使の助手になりまして

「あそこで倒れてる人たちは、その悪いものに感染したの? ウィルス?」

 コクリと大きくうなずく。

 この際、ウィルスでも何でもいい。危ないと知ってくれればそれでいい。

「だから、早く離れてください!」

 そう言っているうちにも、土玉が当たった人がピクピク痙攣した後に苦しみ出している。それを見た人から呻き声が上がり、顔が真っ青になって恐怖に歪む。

「おいおいマジかよ。やべー、早く行こうぜ」

「逃げるぞ!」

 事態が分かった人が走り始めると、みんなそれに倣ってくれた。

「何してるの! あなたも逃げなきゃ!」

 小学生くらいの子を連れたママさんに「早く」と促される。

「私には、まだやらなきゃいけないことがあるんです。ウィルスの塊は私にしか見えないんです」

 闘っているみんなに代わって、私が一人残らず知らせないといけない。

 私の腕を掴まえている優しい手を振り切って、メリーゴーランドの方へ走る。

 すると、のんびりベビーカー押しているママの傍に、ずんぐり魔族がのそのそと近付いていた。手に持ってる土玉を、あろうことかベビーカーの中に入れようとしている!

「ダメー!! 早く赤ちゃんと逃げてー!!」
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