俺様天使の助手になりまして

 気を抜く隙がない。

 右から左から前から次々に飛んでくる。

 竹刀で叩くことに集中し過ぎると、足に当たりそうになってヒヤッとする。

 飛び上がったりしゃがんだりしながら、ひたすらに竹刀を振り続ける。

「ヒュン――、ヒュン――ボスボスッ」

 足元で連続して土玉がはぜて、モヤが辺りに立ち込めた。

「ゴホッ、エホッ」

 黒いモヤを吸い込んでむせていると「ぐるじいがぁ?」とずんぐり魔族がブフェフェッと笑った。

 咳き込んでる間にも玉が飛んでくる。

 ずんぐり魔族たちは、汗びっしょりになって必死な私を見、不気味な声で笑ってる。完全に遊ばれている。

 重いパパの竹刀だ、だんだん腕が疲れてきて、動かなくなってくる。

 しっかり! 頑張れ私! 集中するの! 

 そうだよ、剣道だってフラフラになるまで、かかり稽古してたんだ。

 こんなのに負けない。いつかきっと土玉がなくなる。

 それにぴぃちゃんの知らせで天使の誰かが来てくれる。それを信じて頑張るんだ。
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