俺様天使の助手になりまして
「目的? そんなもの決まっています。『退屈しのぎ』分かりますか。私は暇なんですよ。平和で何も起こらない天界。書類にサインをするだけの日々。大天使の力を発揮する場がなく、長とは名ばかり。手にした力を使いたい。どこまでできるか試したい。力を持てば誰もがそうなります。リクトール隊長、あなたもそう思いませんか。その並外れた能力を使いたいと思いませんか」
「少しも思わねえよ。それで、魔に下ったのか。くだらねえ」
「でも、そのお陰で、あなたも楽しめたでしょう? リクトール隊長」
「生憎だがな。ちっとも愉しめてねぇよ。ムナクソ悪いだけだ!」
言いざまに飛び、アクマ天使がシュンシュン、と続けざまに矢を放つ。堕天使がばさぁっと大きく羽ばたくと、矢は勢いを失くし、ポトポトと地面に落ちた。
「そうですか? あなたが、そこの健気な助手と出会えたのは、この私のお蔭なのですよ!」
堕天使は、翼をひと振りした。
「ひゃあっ」
ゴオッと唸りをあげて、息が出来ないほどの風が来る。
私は咄嗟にメリーゴーランドの柵を掴んだ。
羽ばたき一回で暴風並みの風が来る。それが何度も繰り返されていた。
「ひゃああっ」