俺様天使の助手になりまして

 足が浮く。手が滑る。

 指が、柵からずりずりと離れていく。

 リクトールは襲い掛かってくる魔族に矢を射ってて、こっちに来られない。

 や、怖い、やだ、飛ばされるっ。

 指が完全に離れ、パパの竹刀を必死で抱き締める。私の体は、暴風に舞う紙切れのように飛んでいた。

「いやあぁぁぁ」

 メリーゴーランドの馬たちがどんどん小さくなっていく。この後ろには確かスカイライナーがあった筈。その鉄柱に激突するかもしれない。なるべく体を堅くして防御するしかない。

 来る衝撃に覚悟を決めた。

「あはははは」

「アカリ!」

「お譲さん!」

 高らかな笑い声と二種類の呼び声が聞こえる。私の体は、何かにドーンとぶつかった。

「うああぁっ。痛いっ……あれ?」

 激突したのは、想像よりもはるかに柔らかいものだった。誰かに受け止められたようで、はあぁと安堵の息が漏れる。

「あの、ありがとうございます」

 ホッとしすぎて力のない声が出る。まだドキドキしている。大天使って、すごい力の持ち主なんだ。

「平気か?」

「はい、なんとか」

 風の無い場所まで連れてってくれたその天使は、見たことがある。ちょっと長めの髪の毛で、サナダの天使……。
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