俺様天使の助手になりまして
部下たちに命令した後、アクマ天使はゆっくり空を飛び始めた。
ずっと黙ったままで、羽音とゆるやかに通り過ぎていく風の音だけが耳に入る。すぐ下には、サナダと通って来た高速道路が見える。
もしかして、教会に戻るの? 用って何?
聞きたくても、胸が締め付けられて、言葉になって出て来ない。
ゆっくり景色を楽しむように飛んで、ふわりと下りたのは、山の上神社だった。祭りの提灯飾りがぐるりと飾り付けられている。もう夏祭りの時期なんだ。
「お前と初めて会ったのは、ここだったな」
「そう、だね」
約一ヶ月前、ここで出会ったんだ。最初は、変な外人だと思ったんだっけ。
「堕天使にはああ言ったが、俺は、この一ヶ月の間楽しかったぞ。それは、お前が助手だったからだ。加減が分からず乱暴なこともしたが、許してくれ」
宝石のように輝く瞳に、私が映っている。
もう、これが最後なの?
「どうして。どうして、私の印だけ、他の人と違ったの?」
「ああそれか。それは、簡単に言うと、俺の心配材料を減らす為だ。お前は強いが、目が離さねえ奴だから」
「それじゃ、分かんないよ」