俺様天使の助手になりまして

「朱里先生、さようなら」

「はい、さようなら」

 先生だって、くすぐったい。

 けど、藤松先生が言ったんだ。

『朱里は剣道二段だろう。子供達から見たら、立派な先生だ』

 先生だと紹介しちゃったもんだから、それが私の呼び名になった。

 日曜の午前に子供達の先生になって体を慣らしたら、徐々に大人との稽古に参加していくつもりだ。そして、目標の三段を取るんだ。

 難しいけれど、頑張らなくちゃ。



「ぴぃちゃん、ただいま」

 私が部屋に帰って声をかけると、鳥籠の中でバサバサ羽ばたいて囀って、それはそれは大騒ぎで迎えてくれる。

 そう。アクマ天使はぴぃちゃんを置いて行ったんだ。

 教会に連れて行ったけれど、私が飼った方がぴぃちゃんもアクマ天使も喜ぶだろうって、餌袋を二袋もくれたのだ。

 ぴぃちゃんって、天界の子なのに、地上で飼ってもいいのかな? と思うけれど、アクマ天使が置いて行ったのだから、ありがたく可愛がるつもり。

「ね、ぴぃちゃん、お散歩いこうか。ずっと籠の中じゃ、窮屈だもんね」
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