俺様天使の助手になりまして

 しんと静まる中、妙に派手な音がした。

 なんだろう……木の枝が折れる様な。祠の後ろの方からしてきた。

 もしかして神社荒らしかな? こんなところ、お賽銭もないのに。

 箱の中は、私が入れる一円玉だけのはず。貯まっていたとしても数千円だ。

「誰かいるの?」

 竹刀とスマホを持って、慎重に祠の裏側にまわる。

「うわ、ヤバ……人が光ってる」

 そこには、きらきら光る人が、いた。

 童話に出てくる魔法使いのような白い服を着ている。

 その人の体を包む光は、大きくなったり小さくなったりして、何事かぶつぶつ言いながら、忌々しげに服や髪に付いた葉っぱや枝を払っている。

 ひょっとして、ドラマ撮影? 

 でも。それにしては、近くにカメラがない。

 光る人の背中には翼のようなものがあり、頭に白い鳥が乗っている。

 鳥は人形のように動かないけれど、本物かな?

 そんなことを思いながら注視していると、頭の上でチョコチョコと動いた。

「やだ、何あれっ、超可愛いっ」

そうだ! こんな面白い人、自分だけで楽しんでいちゃダメだ。

人にも見せないと! 早くしないと、あの光りが消えちゃうかもしれないし、鳥もいなくなっちゃうかもしれない。

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