俺様天使の助手になりまして

 イタタ……ここに何があったの。

 それより、ここは塾? 学校? 

 え、ヤバッ、今は何の授業中だっけ。焦るっ。

 痛む額をさすりながら目を上げると、すぐ前に、頭を押さえて呻く人がいた。

 涙に霞んでよく見えないけれど、呻き声の主は若い感じだ。

「先生……じゃあない。あれ? ……あっ、ああアクマ天使!」

「この石頭が。ったく、俺は先生でもアクマでもねえぞ」

 そうか、この頭と……道理で痛いはず。

 涙目をこすって額を触ると、ぶつかったところにたんこぶが出来ていた。

「だって、男の人に起こされるっていったら、学校か塾の先生しかいないだもん。ごめんなさい」

 素直に謝ると、アクマ天使は俯いたままぶつぶつゴニョゴニョ言っている。

「いや、まあ、俺が」とか何とか聞こえるけれど、はっきり言えばいいのに。男らしくない。

「おやおや、これは痛いでしょう。どうぞ、こちらをお使いください」

 冷やしタオルを差し出してくれる白髪頭のおじいちゃん。

 見たことないけれど、誰ですか?

「ありがとうございます。わあ、冷たくて気持ちいいっ」

「でも良かったですね、ようやくお目覚めになりました」

「へ? あぁ、そっか……」
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