俺様天使の助手になりまして

 気持悪くなって目がまわって、それで、この長い椅子に寝かせてもらっていたんだ。

 見まわしてみれば、ずらっと同じ椅子が左右に整然と並んでいる。ステンドグラスがあって天井が高く、そこにちびっこ天使が描かれている。さっき夢で見た子みたいだ。

「あの、ここは?」

「教会ですよ。私は、リクトール様のお世話をさせていただいてます。神父の春川です。あなたは助手だそうですね。宜しくお願いします」

 にこにこ笑顔のおじいちゃん。すごく優しそうな人だ。リクトールって、アクマ天使のことかな。そういえば、やたら長い名前の中にあったような……?

「はあ、助手っていうのは、超微妙なんですけど。私、新藤朱里です。はじめまして」

ぺこりと頭を下げると、にこって笑い返してくれる。くしゃって顔全体に皺が寄って、癒し系な感じの人だ。

「お前、寝んな。危うく連れて行くとこだったじゃねぇか」

「へ? 連れて行くって、どこに?」

「天国」

「えええぇっ?」

「冗談だ」
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