俺様天使の助手になりまして
「説明いらねぇのか? 何のために、ぎゃーぎゃーうるせぇ上に、重いお前を担いでここに連れて来たと思ってんだ」
「うるさくさせたのは、誰よ?」
それに、重いって、乙女に向かって失礼すぎ。ぷいっと横を向いてやった。
「ああ、めんどくせぇ。まんま帰すぞ。今後聞きてぇっていくら喚いても話さねぇからな」
アクマ天使は、心底うんざりって声を出した。うんざりは私の方だと言いたいけれど、ここは折れておくことにする。
「うわぁっ要る。要りますっ。話して」
慌てて姿勢を正して、頼んだ。遅くなるのは嫌だけど、いろいろ考えて眠れなくなるのは、もっと嫌だ。
「俺はこれでも、お前に対して逃げ道を作ってたんだ。だが、詳しい話を聞いたら、絶対後戻りできねぇぞ。興味本意で聞きてぇだけなら、止めとけ。助手になったこと、さっきも否定してただろ」
ずいっと近付いてきたメガネの奥で、きらりと光る真剣な目。聞くのは相当な覚悟がいるようだ。
けれども、今までの中で、どこに逃げ道があったの。ずっと強引に引っ張り回していたくせに、逃げられるようなところあったっけ?
「それは、今更だよ」