俺様天使の助手になりまして
むっすりと言い返したら、真剣な目つきのまま綺麗に笑った。
やっぱりアクマ天使の笑顔は怖い。
「まず、精玉ってのは、神が人を創った時に生まれたもんだ。人がもつ感情の核になるもので、種類は様々だ」
袋の中から、『愛』の精玉を取り出した。今は羽も生えてなくて、文字も浮かんでいない。
「お前に分かりやすく言うなら、そうだな。例えば、善は、『努』『優』『義』。悪は、『抗』『怒』『暴』がある。人間の持つ感情や資質全てだから、他にも言い切れねぇほどある。これらが、神の蔵からごっそり盗まれたんだ」
手の平の上にあるのは、ピンポン玉大の半透明なビー玉のようだ。
アクマ天使が呪文を呟きながら手をかざすと、ぽわぁと光って文字が浮かんでくる。
「これは、誕生する前の空っぽの人間に入れりゃ丁度いい。だが、既に要素が入ってる地上の人間の中に入れりゃ、容量オーバーになって、その質が暴走する」
「さっきの、もさ髪男みたいに?」
「そうだ。その人間の持つ性質も合わさるから、始末が悪い。多分、さっきのは『暴』の資質が強い人間だったんだろ。善系でああなるんだ。悪系なら、俺にもどうなるか想像できねぇ」