俺様天使の助手になりまして
乙女の純情の危機
[乙女の純情の危機]

 翌朝、家の玄関から一歩出て、眩しさに目を細めた。

 昨日よりもさらに暑い気がする。本格的に夏なんだ。太陽ギラギラだ。まだ朝だっていうのに、気温は絶賛上昇中。セミも煩いくらいに鳴いていて、寝不足な体にはかなりキツイ。寝たのは三時くらいだったのだ。

「にしても、アツイ」

 どれだけテンションあげても辛い。眠気もあって、たらたらといつも通りの通学路を歩く。その行く手に、〝あるもの〟を見つけて、立ち止まった。

 足が道に貼り付いたようになって、前に進まない。天気は快晴だけど、心の中には暴風警報がガンガン鳴る。そのおかげか、眠気もはるか彼方にふっ飛んでいった。

 家から学校に行くまでには、橋を一個渡る必要がある。まあまあ大きな川だから、ちょっと長めの橋。その真ん中辺りで、男子が欄干にもたれて立っている。

 背が高くて、人待ち風で、サラサラな髪を風になびかせて。こんなに暑いのに、やたらと爽やかなのがいる。
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