俺様天使の助手になりまして
『おはよ、ごめんね、待った?』
『少しな。行くぞ、アカリ』
なんて、らぶらぶな会話をするのが夢だけれど。
優しい彼氏と手をつないで登校するのが、乙女としての夢だけど。
アクマ天使とは、そんなことできないのだ。仲良く登校なんて、香奈やみんなに何て言われるか、想像しただけでため息が出る。
それに助手の覚悟はできたけど、カレカノはイヤなんだ。必要なのは分かる気もする。けれど、例えフリだとしたって認めたくないっていうのが、私の乙女心なのだ。
だって、初カレにはこだわりがある。憧れがあるもの。
「よし、まだ見つかってないよね?」
通学する人の影に隠れながら、そっと様子を見ると、三年生っぽい茶髪な女子二人に話しかけられていた。
珍しくも、優しい顔で応えている。ちょっとにやけている感じが、何だかむかつく。
私には、あんな顔しないのに。きっと好みの可愛い子なのに違いない。男子って、ほんとスケベでいやらしい。
でも、のんびり欄干にもたれてるあの感じなら、私に気付いてない筈。
よーし、早く早くっ。鼻伸ばして話してる今のうちだっ。
小走りで人の間をすり抜けて、橋を渡りきった。ここを過ぎれば、学校まであと少しだ。