俺様天使の助手になりまして

 初キスは、絶対に好きな人としたい。

 それに、憧れのシチュエーションだってある。

 放課後に二人きりの教室で~とか。ちょっと大人っぽく、夜景見ながら~とか。バレンタインにチョコ渡して~とか。

 他にも、色々、それはもうたくさんある。好きなの選べって言うくらいに! 

 それに「アカリ、好きだ」とか、ちゃんと告白されてからしたいのだ。誰が好きでもないアクマ天使と!!

 だんだん腹が立ってきた。

 あのとき悔しいくらいに動けなかった。力ずくで乙女の初めてを奪おうなんて、卑怯だよ。

「ううぅ~~」

 唸りながら、斜め前にある無駄に大きな背中を睨む。これ以上は、絶対、許さないんだからっ。

 仮にも天使なのに、か弱い女子を襲うなんてイケナイよ。天使として赤点だよ。もしも天使学っていうのがあるなら、全教科真っ赤に違いない。

 そんなことを考えているうちに、いつの間にか学校に着いていた。

「帰りも一緒だからな」

「待ってればいいんでしょっ。でも、今日は、塾の日だよ」

「あ? それがどうした」

「覚えておいてねってこと!」
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