俺様天使の助手になりまして

 会話はスムーズ。無断で写真を撮ってしまった怒りは解けたかもしれない。

 ホッと胸を撫でおろしながら竹刀を下ろして、外人さんを再び見た私は、腰が抜けそうになった。尻もちをつかなかったのを、盛大に褒めてあげたい。

「な、な、な、何してるの!」

 外人さんは、弓道で使うような大きくて白い弓に矢をつがえ、構えていた。

 矢の先端は明らかに私に向けられている。

 さっきまで何も持っていなかったのに、あんな大きな弓を一体どこから出したのか。

「短い人生だったな。俺に出会ったのが運の尽きだ」

「はあ!? ちょ、ちょっと待って!!」

 やっぱり怒りは解けてなかったの? というか、あんなことで矢を向けて来るって、おかしくない? 笑ったように見えたのは気のせいだったの?

 逃げようと思っても脚が震えて動かないし、矢だから、どれだけ早く走っても刺さってしまうかもしれない。頭の中に新聞の記事が思い浮かぶ。

『女子高生、人気のない神社で、ひっそりと死す。一ヶ月も見つからず……』

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