俺様天使の助手になりまして

 駆けだしていく瑠璃菜を捕まえようとするのと、精玉が動き出すのがほぼ同時だった。

 今度はふらふらせず、迷わず一直線に瑠璃菜に向かっていく。先輩のところまで行って話しかけている瑠璃菜に、玉がすーっと近付く。

 あのままじゃ、憑かれちゃう!

「待ってーー!!」

 急いで瑠璃菜のとこに駆け寄ろうとしたら、いきなり肩が掴まれた。

 え? と思う間もなく、少し宙に浮いた体は、そのまま強い力にコントロールされていく。気付いたら、少し硬めな弾力のある壁にぎゅうっと押し付けられていた。

「むがっ、むー? むーっ」

 目の前が暗くなって、鼻が押しつけられていて、息が出来ない。

 ちょ、邪魔しないで。瑠璃菜を助けにいかないといけないのに!

「むむむーっ、んー!?」

 離してよ! このバカ力! 力の限りバタバタと暴れると、さらに押し付けられた。

「アーレス……ガリアル」

 呪文みたいな言葉をぶつぶつと唱える声がする。

 ああ、アクマ天使だ……今までどこにいたの? 瑠璃菜が狙われてて、すっごく怖かったんだよ?

 酸素が足りなくて、半分朦朧としながらもほっとして力を抜くと、少し時間が経ってから体の拘束が解かれた。

「ぷはぁっ、はあっ」
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