俺様天使の助手になりまして

 アクマ天使から体を離して、一生懸命呼吸をする。

 死ぬかと思った。鼻を押し付ける手加減が全然ないんだもん。

 新鮮な空気を取り込んで落ち着くと、ひんやりした視線を感じた。

 ぞくっとしてぎこちなく振り向くと、アクマ天使がじーっと私を見ている。メガネがぎらっと光っているのは、眼力じゃなくて、きっと太陽の光のせいだよね。そう思っておこう。

「あ、あの、遅かったじゃない」

 顔を見たら、もっといろいろ文句を言おうと思っていたのに、舌がもつれて回らない。

「お前なぁ、教室で待ってろって言っただろうが。何故俺の命令が聞けない? 何故勝手に動いた。説明しろ」

 威圧感たっぷりで、腕を組んで見下ろしてくるから、ますます口ごもる。

「だって、仕方ないじゃない。校庭見てたら玉を見つけたんだもん。黒っぽかったから、危ないと思ったんだもん。早くなんとかしないとって、思ったんだもん」

「ったく、危ねぇのはお前も一緒だろうが。そういう時は、まず、俺を探して指示を受けろ」

「あ、そうだ! ね、そういえば瑠璃菜は!?」

「ちっ、本当に俺の言うことを聞かねえな。あの螺旋髪なら無事だ。何ともねぇよ」
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