俺様天使の助手になりまして
不機嫌そうに、くいっと顎で指す先を見ると、照れ顔の先輩にピンク色の袋を差し出す瑠璃菜がいた。
「わぁ良かった。何ともなくて」
大事そうに抱えていたアレは、先輩へのプレゼントだったんだ。
友達のところに戻る先輩を見送った瑠璃菜が、こっちに駆け寄ってきた。
頬が赤くて目が潤んでいて、恋する乙女の顔をしている。瑠璃菜は綺麗に整えた眉を八の字にして、ぱしんと両手を合わせた。
「朱里、さっきはゴメンね。虫は、大丈夫だった?」
「うん、何とか大丈夫だったよ。ア……リクトのおかげで」
「そっか。守って貰ったんだね。いいなぁ、朱里は両想いで」
私の後ろにいるアクマ天使を見て羨ましそうに口を尖らせる。
その直後、ぐぐぅ~っとお腹が鳴る音がした。ぱっとお腹を押さえた瑠璃菜が、ぺろっと舌を出して照れ笑いをする。
「やだぁ。今の大きかったよね。聞こえたでしょ。陸人君にも聞かれるなんて、超はずかしい。私、お弁当まだなの。先輩に渡すまで、緊張して食べれなくてさ。あ、早くしないと昼休みが終わっちゃう。じゃね!」