俺様天使の助手になりまして

 やだやだ!! ママが独りぼっちになっちゃう!  それに、これからやりたいことが山ほどにあるんだから!

 こんなワケの分かんないヤツに、軽々と人生を奪われるなんて、冗談じゃない。


 手のひらに汗がにじんで震える。けれど、竹刀を構えて外人を睨んだ。

 現役退いて一年近く経っている。

 おまけに相手は、異種の飛び道具。勝てるかどうか正直自信はない。

 でも私だって、毎日素振りをしていたんだ。自分を信じれば、行ける筈! 

 あの弓を持つ、手。あれさえ打てれば、武器を落とせる。

 きりきりと心臓が痛む。雑念を払うように「きえええええいぃ」と大きな声を出すと、体の緊張がほぐれた。

 チャンスは一度きりだ。得意技だった、出籠手。相手が僅かな動きを見せた時に、手首を打つ技。

 横に移動しながらじりじりと近付いて、間合いをはかる。

 ぞくぞくする緊張の中、外人の弓を持つ手にぐっと力が入ったのを見逃さず、地面を思いっきり蹴って飛んだ刹那、耳元でヒュンッと風が唸った。

「やああぁぁぁーーー!!」


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