俺様天使の助手になりまして

「そうでした! アクマ天使のは、超キケンな武器だったね! キューピットみたいに可愛くないもんね! もう教室に戻る!」

 悪を滅するだとぉ!? 

 そんなものを、か弱い乙女に向けてきたんだ! 無茶苦茶腹が立つ! 

 少しでも離れたくて、精一杯早歩きをする。

 なのに、アクマ天使は涼しい顔をして隣を歩いている。おまけに「なに怒ってるんだ」と、しれっと言う。

「もうっ、寄らないでよねっ」

 最後には小走りになって、教室に戻る。

 早く天界に帰ればいいのに! 

 そんな風にぷりぷり怒る私を待ちうけていたのは、少林寺ちゃんの興奮した顔だった。

「ね、見たよ。熱い抱擁! ぎゅうぅって! 他の男のとこに行こうとするのを、こう、ガシッと止めるなんて。朱里、やっぱ超愛されてるじゃん! 羨ましい!」

 隣にいる香奈を相手にし、少林寺ちゃんは「おい、待てよ!」って、男声まで出して熱演してくれる。

 否定は、無理そう。きっと、ますます深みに嵌る筈。

 朝のことといい、今日はなんて日なんだろう。残りの時間は、静かに過ごしたい。

 アクマ天使の方を見たら目が合ったので、ツンとそっぽを向いてやった。


 しばらくは、口をきかないんだから!

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