眼球
湾眼戦争
さて…凌ぎを削ると言ったがこれがまた実に一矢乱れぬ攻防戦なのだ。
戦慄の一部始終がこうだ。

【am2:00】
我軍による敵兵発見の刹那、攻撃の合図は間もなく出される。
鳴り響く静寂のファンファーレは只静かに戦地に木霊するのであった。

「ほれほれ小豚ちゃん。可愛い尻尾が見えてなっさるぞよ!」

そんな具合に我軍の歩兵部隊がこの可愛い子豚を見つけるやいなや…まるで涎を垂らした狼のごとく、抜き足差し足に子豚の元へと近付いていくのです。
豚がいざ逃げようものなら

「ええい、逃がすかいな!ひっ捕らええい!」

と歩兵は装甲戦車に大急ぎで乗り込み全速前進で走っていくのです。
もちろん豚もさすがの轟音にギヤアと一目散に逃げ出すのだが。ここいらが一番憎いところ。
彼の目玉は生きるか死ぬかの追跡劇の真っ最中、雨天決行の日夜カーチェイスが繰り広げられている最中…

「ぱちきり!!」

書いて字の如く、彼が瞬くその”瞬間”豚は水のあぶくに化け

「どろん!」

見事に行方知れずとなるのであった。
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