僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
悪魔は


「―ぶっ」


と潰れた声をあげて本の中に納まった。


もともと針金みたいな手足の小さな悪魔だったから、本に挟むのは簡単だった。



子供の頃、妹が押し花を作っていたときもこんな感じだったのを思い出す。


厚みのある草花も半年後には乾燥して薄っぺらくなってしまう。


悪魔もそうなるだろう。



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