僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル

「あたくし、こういう湿気臭い冷蔵庫嫌いなんだけど」



初対面で彼女はこう言った。


つまり、僕が冷蔵庫を開けたその瞬間。


風呂上がり、たしか前に買った缶ビールが残っていたよなぁと思って、冷蔵庫の扉を開けたその瞬間だ。



「ちょっとあなた、聞いてる?」


妖精が二言目を言い終わるかどうか、そのタイミングで僕は扉を閉めてみた。




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