僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
結局、父さんが私を見たのは式が始まる直前だった。


相変わらず、娘の花嫁姿にも無反応。


バージンロードを歩く時も無反応。



さすがに泣くかと思ったけど。




父さんはただ静かで、何も言わなくて。


ただ、先に待っていた彼に一言


「よろしくな」



とだけ呟いて、私の手を離した。





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