僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
父さんは、黙って受け取ってくれた。


それから、すぐにリボンを解こうとするから、私は慌てて止めた。



「恥ずかしいから、あとでゆっくり見て!」


「?」


父さんは首を傾げるばかりで、ちゃんとフォローを入れてくれたのは母さんだった。



「この子ね、父の日のプレゼントにってあなたの絵を描いたのよ。

さっき、控え室で」


母さんが、和やかに笑って言った。


そう。私は控え室で用意してもらった色鉛筆と画用紙に父さんの似顔絵を描いた。


多分、幼稚園以来のことだ。



「………そうか、父の日のプレゼントか…」


父さんは目を細め、懐かしそうに丸めた画用紙を見つめていた。




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