僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
「……耳は、ちゃんとついてるのか?」



それは、父さんの精一杯のジョーク。



「……今度はちゃんとついてる」


いつの間にか、私は涙ぐんでいた。



だって、あの父さんが今、穏やかに笑っているから。



「お父さん……」


「幸せに、なりなさい」



そう言って父さんは、私と彼に深々と頭を下げた。





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