僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル


6月のある日のこと。


その日は、父の日の日の少し前で、みんなでお父さんの似顔絵を描いていた。



私は、クレヨンが進まなかった。



だって私、その頃はお姫様ばかり描いていたから。


王子様は苦手だったから。


男の子なんて描けないから。



「あら?もういいの?」


幼稚園の先生に聞かれて


「うん」



とあっさり答えた。






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