僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
父さんの似顔絵は、母さんの似顔絵と同じように青い画用紙に貼り付けられ、折り紙のアジサイが添えられた。



私はそれを持ち帰り、母さんに渡した。



母さんは自分の似顔絵の隣にそれを貼ってくれた。






夜、二枚の絵を見比べながら父さんは呟く。



「お父さんのはこれで終わり?耳がついてないんだけど」



そう言った父さんはちょっと怒ったようにも見えた。



確かに、耳がなかった。



でも結局私は耳を書き足さなかった。


せっかく描いたのに、父さんは気に入らないんだって、拗ねたから。




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