僕ハ無窓ノ居室デ無限ノ虚構ヲ夢想スル
麦酒は白いビニル袋に入れてもらい、僕はそれを左手に下げると再び歩き始めた。


目指す病院の姿はもう見えていた。


今歩いている道も緩やかな上り坂になっていて、カーブを繰り返しながら斜面を上っていく。


上りきった先に、白くて四角い箱のような病院がそびえ立つ。


周囲にはきれいに刈り込まれた植木が並んでいたが、どれも不自然なほど形が揃っていて、本物のそれには見えない。


何と無く、生きものの姿に見えない。


そう言った方がいいのかもしれない。



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