【番外編】好きの海があふれそう
それから月日が流れ、あたしは8ヶ月になった。



今日は家族で歩いて15分ほどのところにある公園に行く。



陽鞠を真ん中にして手を繋いていたら、日夏が急にぱっと手を離した。



「どうしたの?」

「パパとママ、手つないで!」



そう言って、あたしと海琉の手を取って引き合わせた。



海琉はちょっと照れ笑い。



家ではくっついてるけど、外でこうして手を繋ぐのは久しぶりなのであたしもなんだか照れてしまう。



「はやく繋いで!」



陽鞠がせかす。



まったく、この子は…。



海琉と手をつないだ。



久しぶりの手のぬくもりが、あたしの心をキュンと焦がす。



海琉は、恥ずかしそうにしながらもう片方の手で陽鞠と手を繋いだ。



すれ違う通行人が、ちょっとくすくす笑いながらあたしたちを見てる。



せっかくだし仲良し家族ってことを見せびらかそう。



そのまま公園まで歩いた。



陽鞠はずっと嬉しそうにニコニコしてた。



公園に着いたあたしは、ベンチでちょっと休憩。



お腹に8ヶ月の赤ちゃんがいるので体がすぐに疲れる。



2人はシャボン玉。



かわいい光景だ。



シャボン玉はうちの庭でもできるのに、やっぱり広い公園でやると楽しいみたい。



「パパ~、次、弥玖(ヒサク)くんといつ会える?」



陽鞠より3歳年上の弥玖。



そう、実は、悠麗と玖麗の息子です。



子供の時のあたしに似て恋多き娘の陽鞠は最近、弥玖がお気に入りらしい。



「んー…どうかな。会いたいの?」



海琉が聞いた。



陽鞠は恥ずかしそうにモジモジしてる。



「陽鞠ね、弥玖のこと…大好きなの…」



そう言って、キャーという感じで顔を両手で覆ってる。



なんだこの子は、天使か?



でも、海琉の顔を見ると、なんだかショックを受けてるみたい。



娘の恋が寂しいのかしら~?



ニヤニヤしながら海琉を観察してたら、海琉があたしの方に来た。



「杏光~…。陽鞠が弥玖のこと好きなんだって~…」
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