【番外編】好きの海があふれそう
2階の日夏の部屋に上がっていく2人。
俺は、あくまでもトイレのために降りてきたんだと演出するためにわざとらしくトイレに入った。
トイレから出て、母さんのいるリビングへ。
「杏光ちゃんにお茶とか出した方がいいかな?」
俺が聞くと、パソコンと向き合ってた母さんが顔を上げた。
「やってくれるの?」
「うん、暇だし…」
「宿題やるんじゃないの?」
「あっいや…息抜き」
ちょっと不思議そうな顔をした母さんだったけど、特に深掘りはされなかった。
冷蔵庫にケーキがあると言うので、俺はそれをお皿に出して、お茶を淹れて、お盆に乗せた。
慎重に階段を上がる。
日夏の部屋の前に立つ。
ノックをしようとしたら、部屋からなにやら嫌な会話が聞こえる…。
「それで、夏樹くんとどんな感じ?」
「夏樹、まーじで最高なの! あたしのことすごい大事にしてくれるし、何より顔が超タイプ!」
「それ聞くの100回目…」
もしかして…彼氏?
体中にショックが駆け巡る。
そりゃ、俺は小学生で、相手にされないかもしれないけど…。
とにかく、目の前のお盆をどうにかするために、ノックをした。
「あ、ケンタ」
「これ…ケーキとお茶」
「ありがと~」
ニコニコしてる杏光ちゃん。
彼氏…いるんだ…。
俺はなにも言えずに、黙って部屋を出た。
しばらく何も考えられない。
隣の部屋から、2人の笑い声がぼんやりと聞こえた。
それから数日間、大きなショックを抱えながら過ごすうちに、夏休みに入った。
前よりはずいぶん傷も癒えた。
俺は、あくまでもトイレのために降りてきたんだと演出するためにわざとらしくトイレに入った。
トイレから出て、母さんのいるリビングへ。
「杏光ちゃんにお茶とか出した方がいいかな?」
俺が聞くと、パソコンと向き合ってた母さんが顔を上げた。
「やってくれるの?」
「うん、暇だし…」
「宿題やるんじゃないの?」
「あっいや…息抜き」
ちょっと不思議そうな顔をした母さんだったけど、特に深掘りはされなかった。
冷蔵庫にケーキがあると言うので、俺はそれをお皿に出して、お茶を淹れて、お盆に乗せた。
慎重に階段を上がる。
日夏の部屋の前に立つ。
ノックをしようとしたら、部屋からなにやら嫌な会話が聞こえる…。
「それで、夏樹くんとどんな感じ?」
「夏樹、まーじで最高なの! あたしのことすごい大事にしてくれるし、何より顔が超タイプ!」
「それ聞くの100回目…」
もしかして…彼氏?
体中にショックが駆け巡る。
そりゃ、俺は小学生で、相手にされないかもしれないけど…。
とにかく、目の前のお盆をどうにかするために、ノックをした。
「あ、ケンタ」
「これ…ケーキとお茶」
「ありがと~」
ニコニコしてる杏光ちゃん。
彼氏…いるんだ…。
俺はなにも言えずに、黙って部屋を出た。
しばらく何も考えられない。
隣の部屋から、2人の笑い声がぼんやりと聞こえた。
それから数日間、大きなショックを抱えながら過ごすうちに、夏休みに入った。
前よりはずいぶん傷も癒えた。