✻秘密は甘くて危険な味✻
色々考えてたら一睡も出来なかった。
いや、寝ようとしたら目覚まし時計がなって気付いたんだ。
もう朝だという事に。
今ならご飯食べながら寝れるよ?

「寝るな」
「痛っ!!」

寝ようとした瞬間、思いっきり右頬を引っ張られた。
僕は痛みで飛び起きる。
何事も無かったかのようにお味噌汁を飲む歩稀を睨む。

「あのさ、加減って言葉知らない?」
「知らない、興味ない。早く食べないと遅れるけど良いわけ?」
「へっ…?うわっ、やばっ!早く食べないと置いてかれる!」

歩稀に言われ壁に掛けられた時計を見て慌てる。
正直眠たくて辛いけど、急いで朝食を口に入れていく。

今日は土曜日。
つまり、期間限定で特進科の寮にお世話になる日だ。
部屋の壁に付けられた全身鏡を見ながら、いつもより身なりをしっかり整えている歩稀。
僕は自分の顔を洗面所の鏡で見る。
誰かにやられたのか?と言われそうな程に癖があちこち付いたボッサボサの髪。
歩稀に鳥の巣って言われてるくらい、寝癖がヒドい僕の頭。

─ピンポンパンポン…。

頭を整えていると、館内放送を知らせる音が鳴った。

─全員寮の外に集合。

寮長の声が館内に響く。

「さて、行きますか」

僕達は荷物を手に、住み慣れた部屋を後にした。
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