双子の貞子ちゃん 2
別棟の空き教室だから、ほとんど人の声は聞こえない。
1人だけ、この世界にぽつんと取り残されたような気持ちになる。
でも、唯一の楽しい時間がもうすぐやってくる。
「伊織さーん!!おはようございます!!」
「おはよう律、樹。元気だね。」
バタバタと静かな別棟に響く2人の走る音が聞こえてくると嬉しい。
「おはようございます、伊織さん」
「伊織さんっ!今日もお綺麗です!!」
「お綺麗じゃないよ。」
「「お綺麗ですっ。」」
見事に揃う2人
ありがとうと流しながら、日の当たる窓際の机を3つくっつける。
「伊織さん、今日樹が〜、」
他愛もない話を聞いて、あっという間にお昼が終わる。
そんな日々を過ごしていた。