双子の貞子ちゃん 2
ん?と思い、思わず右隣の人の顔にピントが合う。
いつもとは違う前髪を上げている姿にキュンとなりつつ、動揺を見せないようにする。
「俺の分やる。…好きだろ甘いの。」
賑やかな空間の中で、湊の声がハッキリと届く。
「あ、ありがとう…。」
顔は見れずに、お礼を口にする。
……ダメだ。ちゃんと言わなきゃ。
うじうじしてたら、湊に失礼だ。
「…うん、甘いの好き。ありがとう。」
ちゃんと顔を見て言えば、ちょっと驚いた顔をした湊が、笑った。
最初は気を使ってくれたのか、他人のふりをしていた湊
お父様たち4人が未だに結婚の話で盛り上がっているのを良いことに、湊と小声で会話を始めた。
「じっくり見るの初めてだな、その髪。いつも帽子とか被ってただろ。」
「…うん。隠してたから。」