キミのためだけの動画
「りりこ、そろそろご飯よ」


「はーい」


お母さんに声をかけられ、スマホを持ってリビングに向かった。


何があっても、スマホは手放せない。みんなもそう思うよね。


私も学校にいるとき以外は常に持ち歩いてるんだ。


でも、お母さんは、分かってないの。今日もこんなこと言ったんだよ。


「スマホばっかり見てないで、勉強もしなさい。そんなもの見ても、りりこのためにならないんだからね!」


本当に口うるさいんだから。


しばらくするとお母さんがご飯を持ってきた。


それを私は、めんどくさくなっちゃって、いただきますも言わずに食べたの。そしたらお母さんのイライラに火がついたんだ。


「いただきますも言えないの! 本当にあんたは……」


ほら出た。ちょっと言わなかっただけなのに、すぐ文句言う。


「だいたい、スマホも見過ぎなのよ。動画投稿サイトだって、自分がやるわけじゃないんだから、見る必要ないでしょ!」


そこまで言われると流石に私もむっとしちゃう。


「今スマホの話は関係ないじゃん! もういい、ご飯いらない!」


私は机をたたいて立ち上がり、大きな足音を立てて自分の部屋に戻った。


< 2 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop